不動産投資知識

【超重要】不動産投資で絶対に理解すべきたった1つの数式とは?

不動産投資を行うにあたり投資家が必ず参考にしている指標があります。これはプロの世界でも個人の世界でも変わりません。不動産投資を始めたい方は必ずこの数式の意味を理解してください。

本記事をお読みいただければまず投資に重要な数式を理解していただけます。これは私が普段の仕事で投資のプロとして初めて不動産投資に触れる際に実際に説明している内容とほぼ同じですのでぜひご一読ください。

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不動産投資のほぼ全てを説明する数式とは?

不動産価格 = 賃料収益 ÷ 利回り

不動産投資の考え方を理解する上で必ず押さえておかなければならないのが以下の数式です:

不動産価格 = 賃料収益 ÷ 利回り

例えば賃料収益が年間500万円で、利回り5%の物件は500万円÷5%=1憶円となります。なぜこの数式が重要かというと、まず世界の不動産投資のどこでも不動産価格を見積もる上でこの数式が利用されるからです。また、この数式でどの変数が変化したらそれが不動産価格にどう影響するのかを数字でもって理解することができます。

この数式を眺めると感覚的に理解していた各変数が、どう不動産価格に影響するのかわかります。まず、受け取ることができる賃料収益が増えれば不動産価格は上がります。感覚的には違和感はないと思いますが、例えば上記の例で賃料収入が500万円から600万円に増えて他の指標が変わらなかったとすると600万円÷5%=1億2000万円となり、価格が20%上昇することになります。なのでいかに高い水準で賃貸を付けるの重要かが理解できると思います。リートを含めた不動産ファンドにとっては非常に重要なので、彼らが保有している物件は賃料を高めに設定していることが多く見られます。その代わりに例えばフリーレントといって一定の期間は賃料支払を免除するなどといったキャンペーンを行い入居を促すのが多いです。非常に需要のある地域であればキャンペーンを打たずともあっさり入居が決まりますので不動産ファンドはより強気な賃料設定を行います。逆に需要が弱含みの場合は上記のようなキャンペーンを打って少しでもいい家賃で稼働させるべく努力します。

利回りは業界界隈ではキャップレート(cap rate)といわれたり、イールド(yield)とも呼ばれます。利回りも不動産価格に非常に大きな影響を与えます。上記の例で例えば賃料は変わらず500万円で利回りが5%から4%に下がったとしましょう。その場合不動産価値は500万円÷4%=1億2500万円になります。わかりづらいのですがご覧の通り利回りが下がると不動産価格は上がります

利回りの決まり方についてはかなり複雑な要素が絡まりあっており中々簡潔なご説明は難しいのが正直なところですが、一番関連性が強いといわれているのが金利です(すなわち国債の利回り)。利回りの決まり方で一般的なのはまずその物件が位置する国の国債の利回りをベースに計算します。10年国債と比較するのが一般的です。これは世の中の投資資産で一番リスクが低いとみなされるのが国債だからです。ただその国債も国によってリスクが異なるのでその地域にある物件はそれぞれその国の国債と比較することになります。

仮にその国の10年国債の利回りが2%だとした場合、そこからその不動産が国債と比べてどれくらいリスクがあるかを見積もり不動産の利回りが決定されます。決定要因としてはまず立地でどれくらい中心地にあり、換金化が容易か、テナントを呼び込みやすいかをみます。次にその物件のスペックをみます。例えば築年や建物の状態など様々なところでリスクを見るわけです。大きく分けてこの二つで国債に上乗せする利回りが決まりますが、更に物件の種類(例えばオフィスと住宅、ホテルなど)でも採用される利回りは異なってきます。。もし立地や建物の状態から、国債よりリスクが3%高くあるべきだと判断されたら、この物件の利回りは5%となります。この国債からの差額3%はよく”スプレッド”と呼ばれます。

更にこのスプレッドで不動産価格のバブル度を測ることも行われています。例えばリーマンショック直前の米国オフィスと国債のスプレッドは0.5%まで縮まっていたといわれています。今は1.5%~2%程度でしょうか。一時期の米国債の急激な利回りの下落に不動産価格はついていきませんでした。利回りの難しさとはまさにここにあって、国債の利回りが下がればつられて不動産利回りも下がるのが一般的ですが、それ以外のリスク要因によってつられて下がらない時があります。今回はコロナというリスクにより不動産に対する見方が厳しかったため、国債の利回りが下がっても不動産の利回りはほぼ変わらなかったといわれています。

この金利が下がると不動産価格が上がる理由ですが、借入金利も影響しています。たいていの場合不動産投資は金融機関からの借入を行い投資しますので、借入金利に影響を与える国債の利回りに感応するというロジックです。なので国債利回りが下がるということは安い金利で借りることができるようになるため不動産価格が上がるということになります。

ただ非常に複雑なのは国債の利回りが低い状態というのはほとんどの場合景気全体が低迷している時です。その様な時に不動産への投資というのは後ろ向きになりがちなので、金利が下がったという状況だけをとって即不動産利回りの低下(不動産価格の上昇)につながらないことがあります。逆もしかりで今までのお話だと金利が上がれば不動産価格は下がる、というロジックになります。ただ金利上昇局面というのはハイパーインフレを除いて景気が良好な状況にあることを意味します。このような局面では不動産投資は積極的に行われ需給の観点からお金が不動産に流れた場合は金利上昇局面でも不動産利回りは低下し価格は上がっていくことも想定されます。これは国債に対するスプレッドが縮まっていくことを示唆します。

もうひとつ実務で確認することはグロス利回りと実質利回りの違いです。グロス利回りとは賃料収入そのものを分子にした利回りです。実質利回りはネット利回りとも呼ばれ、賃料収入から恒常的な費用を差し引いた収益を分子にしたものです。上記の例で500万円が賃料収入そのもの、500万円から費用を差し引いた収益は400万円だった場合で不動産価格が1憶円だった場合、グロス利回りは5%、実質利回りは4%(400万円÷1憶円)という計算になります。

このように不動産投資に必要な数式は至極単純明快ですが、その変数の決まり方は複雑怪奇なのです。また別の機会に賃料の決まり方、利回りの決まり方について深堀りしてご紹介したいと思います。

不動産投資の数式が当てはまらない例外

ほぼ全てに活用されるこの数式ですが、例えば更地などは余り活用されません。その場合は㎡あたりいくらと計算したり、実額でいくら、という計算がなされます。ただし、投資用不動産を開発するために更地を購入する場合はその更地価格をはじき出すために数式が活用されます。例えばマンション分譲用だといくらで分譲できるのかという観点から計算をするため数式が使われることはほとんどありませんが、価格の妥当性を検証するために念のためはじいておくということも実務で行われます。

不動産投資とは感覚と理論が混ざり合ったアートです笑

これはもちろん株式などの他の投資資産でも言えることですが、理論だけで儲かることはありません。少なくとも理論に経験的な感覚、そして本能的な勘を総動員させて行うことが重要です。近年AIの発達でこれは大きく否定されていくことになるかもしれませんが、少なくとも不動産投資においてはもう少しこの”プラスα”の部分が重要な期間は続きそうです。お互いよく勉強、よく実践していい結果を出しましょう!笑

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