不動産投資知識

不動産投資を始める前に:リスクリターンの考え方を整理しよう

同じ不動産投資でも物件と戦略によってリスクリターンに大きな違いがあります

もし不動産投資について検討されている場合、リスク許容度がどれくらいあり、一方でどれくらいのリターンを狙っていくのかをよく考える必要があります。不動産に限らずどの資産でも言えることですが、最悪どれくらいの損失がでそうなのか、ある程度自分の中で基準を持っていくことが非常に大事になります。

例えば株式であればトヨタやグーグル、アマゾン、アップル等おおどころを押さえておけば紙屑になることは余り考えなくでよいかもしれません。ただし、個別株は基本どの銘柄も値動きが激しいので価格の揺れに対して心の準備が必要です。これが同じ株式でも新興企業株や仕手株などはある意味価値がゼロになる可能性があるわけですが、短期間で価格が10倍になったりします。

債券でも国債は一番とりっぱぐれの無い資産といわれますが、例えば新興国のハイイールド債の投資信託は全部が返ってこない確率が国債に比べると高いのは直感的にわかると思います。

株式でも債券でも、投資の際はどれくらいまで下がってもいいから投資しよう、とかいくらくらいまでとりっぱぐれがあってもよしとしよう、という基準を持って投資をされるのが多いかと思います。不動産についても同様です。具体的にいくら損する可能性があるのかを見積もるのは困難ですが、不動産は資産タイプによって比較的にわかりやすく分類がされており、どのような投資がどれくらいのリスクがあるかを測りやすいのではと思います。

不動産投資の一般的なリスク分類:コア型、コアプラス型、バリューアッド型、オポチュニスティック型

不動産投資のリスクリターンの一般的にコア型、コアプラス型、バリューアッド型、オポチュニスティック型に分類されます。左から順にリスクが低くなり同じく期待リターンも低くなります。逆に右にいくにつれてリスクが高くなる一方で期待リターンも高くなります。それぞれの類型の線引きは余り明確ではありませんが、例えばコア型とオポチュニスティック型の投資手法にはかなりの違いがあり、求められる知識やテクニックも変わってきます。

ざっくり言うと①立地、②建物のスペック、③どれだけ手を加える必要があるか、④レバレッジの高さでそれぞれ色分けされると考えます。

他の文献を確認しましたが、余り深く掘り下げている情報もないので逆にマニアックに可能な限り掘り下げてみたいと思います。

なお、この分類は機関投資家、いわば投資のプロが当たり前に使っている尺度です。例えば不動産ファンドを運用する際は投資額の何%をコアに、バリューアッド型への投資は何%まで許容されるなどのガイドラインを設定し、投資家側にどれくらいのリスクリターンを狙っていくファンドであるのかを明確にします。でないとファンドの投資家もリスクと期待リターンを測ることができず、投資判断ができないためです。裏を返せばそれくらい重要な尺度であるということです。

上述の通りこれは個人投資家にとっても非常に重要なポイントです。投資をする際、自分にどれくらいの知識と経験があるのか、どれくらいの時間と労力をかけることができるのか、最悪どれくらいの損失を許容できるのかについて整理した上で投資を行う必要があります。

コア型投資:不動産投資で一番手堅い投資手法

コア型投資のイメージ:ピカピカの物件への投資

各指標
リスク    ★☆☆☆☆
期待リターン ★☆☆☆☆
手間暇    ★☆☆☆☆
レバレッジ  ★☆☆☆☆

不動産投資としては王道の投資手法です。リスクは最小限に抑えそれに見合ったリターンを狙っていきます。通常リターンの源泉は賃料収入であり、必ずしも価格の上昇を狙った投資ではありません。したがって立地がピカピカ、建物もピカピカ、しっかり稼働していて賃料が下落したりテナントが抜けてしまうリスクが低いものに投資する手法です。レバレッジは一般的に低めです。ちなみにレバレッジとは不動産投資を行う際に銀行などからお金を借り入れて投資することが通常ですが、この物件価格に対する借入の大きさをレバレッジの高さといいます。お金を借りれば借りるほど、つまりレバレッジを上げれば上げるほどリターンを高めることができますが逆にリスクも高くなります。詳細はまた別の記事で説明したいと思います。

イメージしやすい投資でいえば、大手町や丸の内のピカピカのオフィスビルへの投資が典型的なコア型投資です。もちろんコロナ問題で今後オフィスがどうなるかはよく考える必要がありますがオフィスへの投資という意味では日本国内においてはこれより手堅い投資先を見つけることは難しいでしょう(日本においてはそもそも丸の内のビルが売りででることなどありませんが)。ただ逆に言うと手堅さゆえに期待できるリターンも低いということです。

個人的にスポットライトを当てる区分マンション投資で言えば港区の駅徒歩5分以内にある、新築~築浅のマンションのイメージです。家賃設定さえ間違えなければ現状確実に借り手はつくでしょうし、売ろうと思えば売れます。ただし、ご想像の通り価格は高くなり、期待できるリターンは低くなるでしょう。

よく言われる期待リターンのイメージは5-7%といわれていますが、この超低金利の状況でコア投資で7%を達成するのはちょっと難しいかもしれません。例えばピカピカの物件でもレバレッジを上げて投資するなど何らかの形でリスクを上げなければ現状7%は難しいでしょう。

コアプラス投資:正直コア型との境界線があいまいでわかりづらい

各指標
リスク    ★★☆☆☆
期待リターン ★★☆☆☆
手間暇    ★☆☆☆☆
レバレッジ  ★★☆☆☆

コアプラス型投資ですが、コア型投資よりも何かのポイントで少しリスクを高めにとり、その分若干高いリターンを狙う手法になります。例えば建物はピカピカでも立地が抜群でなく二番手あたりのところや、逆に立地がいいが建物の経年が少しだけ経っているもの、立地も建物も良好であるも、何らかの理由で稼働率が少し低い物件等への投資がコアプラスに該当します。基本的にコア型と同様に賃料収入がリターンの源泉ですが、若干の値上がり益も狙う戦略です。

イメージとしては、地方都市中心の新しいオフィスビル、もしくは新宿の築15年のオフィスといったところでしょうか。コアでは物足りないリターンなのでどこかで若干リスクをとる投資です。

個人の区分投資でいえば、横浜の築10年の区分マンション、江東区の築15年の区分といったところでしょうか。少しイメージがしづらいですかね。。。

期待リターンとしては一般的には7-10%程度といわれていますがこの水準のリターンを今だすことは少し難しいでしょう。

バリューアッド型投資:ここらへんから必要な能力が変わってくる

バリューアッド投資のイメージ。これはこれで味のある物件だが。。。

各指標
リスク    ★★★☆☆
期待リターン ★★★☆☆
手間暇    ★★★☆☆
レバレッジ  ★★★☆☆

バリューアッドとは和訳のごとく、投資物件に何らかのてごころを加え、その価値を高めることを狙った投資手法です。コア型、コアプラス型は賃料収入を主なリターン源泉としますが、バリューアッド投資は賃料収入も狙いつつ積極的に値上がり益を狙っていく投資手法です。

一番典型的な例でいうと、立地がいいが築年が相応に経っている物件をリノベーションして価値を高めるような投資です。典型例でいくと例えば大阪御堂筋の築30年のオフィスビルをリノベーションしてテナント付けをし売却するイメージです。

個人の区分マンション投資でいうと白金高輪の好立地にある築30年のマンションをリノベーション前提で投資するイメージでしょうか。立地がいいマンションで築年が古くても外観がそこまで悪くなければ中をきれいにすればかなりいい賃料で借り手を見つけることができるでしょう。

バリューアッド型投資での期待リターンは一般的に10-15%といわれています。これくらいのリスクの取り方から投資の個別性がかなり強くなってくることと、レバレッジを積極的に活用するのが多くなるため、今の低金利でも相応のリターンは望める戦略になります。ただしそれに見合ったリスクがあることも事実です。

オポチュニスティック型:上級者であれば目指したい、ただリスクも高い

オポチュニスティック型投資イメージ。こういうものを壊して再開発します

各指標
リスク    ★★★★★
期待リターン ★★★★★
手間暇    ★★★★★
レバレッジ  ★★★★★

上述の通り一番リスクが高く、その分高いリターンを狙っていく戦略です。ただ、範囲が広いです。不動産投資でいうとテナントの目途が特にない開発型投資が典型ですが、たとえば20年近く前に流行ったものでいうと潰れそうなゴルフ場や旅館、ホテル等の投資や、いわゆるディストレス投資もこのオポチュニスティック型投資に含まれます。機関投資家で有名どころで言えばブラックストーン、ゴールドマンサックス、ローンスター、フォートレス(ここは日系になったという整理?)といった泣く子も黙る外資系投資ファンドが特に得意としている分野で、2000年前半に日本で巨額の収益を上げていました(ブラックストーンはもう少し最近かな?)。リターン上げる手法は積極的に活用するということでレバレッジも極限まで高めて投資を行います。開発、ゴルフ場、ホテル等、想像に難しくないと思いますが、形を整えて収益を上げるのはとてつもない労力がかかります。よってそのノウハウも非常に高度かつ属人的であるとも言え、この手の投資を手掛けている人たちは業界では一目置かれます。コア型の投資とは求められるスキルも全く違ってきます。

個人の区分投資でオポチュニスティック型投資に該当する投資手法は余り浮かびませんね。売り主がローンを返せなくなったボロ目のマンションを任意売却で安く買い取るといったイメージでしょうか?やはりボロ区分は該当しそうな気がします。地方の一棟ものを開発したりするのは本来的にはオポチュニスティック型投資に含まれる気がしますが、やはり立地にもよると思います。めちゃくちゃ利回りの高い戸建て投資もオポチュニスティック型投資に該当するかもしれませんがやはりそれも立地と物件によるかと思います。その地域を熟知していればそこまでリスクをとった投資にはならない気もしますので、ここの区分けは個人が手掛ける投資では少し難しいですね。

期待リターンは15-20%程度といわれています。むしろこれくらいのリターンが狙えないと労力対比割に合わないという考え方になろうかと思います。

不動産投資を始めるときは自分取れるリスクを測る努力を

他の運用資産と比較しても一般的に大きな投資規模となる不動産です。始める際はリスクについて良く把握する努力をしましょう。

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