2021年6月18日、インベスコの関連会社がインベスコオフィスJリートの公開買付を実施するとのプレスリリースがなされました。
一口あたり22750円と少しだけスターウッド買付けのプレミアムを乗っけています。
これでインベスコオフィスは上場リートから私募リートへと形を変えます。
これで今回のインベスコオフィスJリートの敵対的買収は幕引きとなるのでしょうか?
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インベスコオフィスJリートの買収をスターウッドが断念、インベスコの関連会社が非公開化の為TOBで決着?
スターウッドによる敵対的買収の仕掛けが2021年の4月から始まりこの二か月間様々な攻防がありました。
結局スターウッドによる公開買付は不成立に終わりました。
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インベスコオフィス、スターウッドによるTOBは失敗。投資口価格への影響は?
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インベスコ関連会社によるTOBが成立すれば、実質的にインベスコの勝利に
インベスコ関連会社によるTOBが成立した場合、インベスコオフィスJリートは上場リートから非公開化され、私募リートに構造が変わります。
リートの成立要件として導管性要件などを満たす必要があるのですが、これはクリアできているという理解です。
裏の投資家の数をしっかり押さえて50%超にならないストラクチャーを組んでいるのでしょう。
非上場化してもインベスコが運営を続けることになりますので、運用報酬をしっかり取り、かつ日本での事業プラットフォームを維持できることになります。
投資家も対個人投資家含め、上場していた際の様々なコストが、なくなります。
私募リートだと投資家は基本的には機関投資家のみとなり、IR上もかなり負担が軽減されるはずです(もちろんその分運用成績の見られ方がシビアになりますが)。
いずれに転んでもインベスコの勝利ということは変わりません。
インベスコオフィスJリートの買収合戦はこれで決着となるか?
約2か月間の買収合戦ですが、本当にこれで終わりとなるのでしょうか?
波乱があるとすれば2つのパターンがありえます。
インベスコオフィスの波乱要因
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スターウッド等既存の投資主によるTOB価格値上げ要請
- スターウッドもしくはその他の企業によるTOB
スターウッド等既存の投資主によるTOB価格値上げ要請
スターウッドがTOBを諦めたとしたら、インベスコ関連会社によるTOBに応募することにより収益が確定します。
私がスターウッドであれば、最後収益を最大化させるためにTOB価格の更なる引上げを要請します。
スターウッドからのTOBを受けた際にインベスコオフィスは買収価格が低すぎると非難していたところをブーメランで返して、本来の不動産価値あたりまで(イメージとしてはだいたい一口あたり23000円くらい)上げる様に強く要請します。
スターウッドの投資簿価は一口あたり14093円なので、TOBが成立すれば少なくとも37億円の収益になります。
スターウッドの規模からすると余り大きな数字ではありませんが。。。IRRはすごそうです。
投資口数 | 取得価格(百万円) | 取得単価(円) | 直近投資口価格(円) | 倍率 | 含み益(百万円) |
446,500 | 6,293 | 14,093 | 22,530 | 1.60 | 3,754 |
スターウッドもしくはその他の企業によるTOB
スターウッドやTOBを見ていた企業がまだ買収を諦めていなければ更にTOBを仕掛けるという可能性はゼロではありません。
ただし、既に投資口価格は以前よりも高騰していますし、普通の企業のM&Aと違い、コア不動産の特性上シナジーもなく買収価格を吊り上げるということは難しいとみています。
従って可能性はゼロではないにしろ、余り実入りもなさそうな買収価格になった今、このシナリオは起きづらいのかなと思います。
インベスコオフィスJリートのTOBが成立しようがしまいが、このままだとインベスコ勝利で決着
インベスコの立場からするとTOBに成立可否に関わらず収益源を確保できることになるので、どちらでもいいはずです。
なので、意外とあっけないものでしたが、インベスコの勝利はほぼ決まっていて、後はどのような形で終えるのかだけがテーマになる気がします。
まだ最後までなにがあるかわかりませんが、この2か月間、楽しませてもらいました。