日系金融機関、特に大手であれば非常にいい就職先といえますが、当然メリットとデメリットがあります。
もし外資系と日系の金融機関で迷っている場合はご参照ください。給与面では外資系に水をあけられていますが日系には日系の良さがあります。
私は10年以上日系の金融機関に勤務した後に今の外資系金融機関に転職しました。
両方を経験した立場から申し上げると日系の金融機関も素晴らしいところは多々あるということです。
もし安易に外資系金融しか見ないと思われる方は一度日系も検討対象に入れることをお勧めします。
こんな方におすすめ
- 就職活動で日系金融か外資系金融どちらを選ぶか迷っている方
- 日系金融に努めているが外資系金融への転職に興味がある方
Contents
日系金融にはメリットが沢山あります
もちろん巨大な組織が多く合う合わないはあります。
やばいところに行ってしまい異動などで出ることができないのであればすぐにでも転職して脱出する方が身のためになる場合もありますが、総じて日系金融のメリットは多いです。
日系金融勤務のメリット
- 雇用の安定性(ジョブセキュリティ)
- 異動を通じて様々な業務を経験できる
- 社費で海外留学のチャンス(MBA)
- ”先進国”に海外駐在できるチャンスがある
雇用の安定性
よく外資系と比較されるのがこの部分です。犯罪やその他重大な内規違反をしなければ会社から追い出されることはありません。
たとえ後ろ向きな理由でも会社にしがみつくことは現在では可能です。
ただし、これは将来的に崩れていくことは間違いないでしょう。
トヨタ社長のご発言でもありましたが、会社が社員の人生を守ることが構造上難しくなっている今、終身雇用に賭けるのはキケンです。
異動を通じて様々な業務を経験できる
基本的に金融機関は、顧客との癒着防止も含めて定期異動させる傾向があります。
新卒が配属された部署が自分に合わなくても異動によってまた別の業務にチャレンジすることが可能です。
もちろん、行先は希望通りになるとは限りませんし、一緒に働く人たちもガチャです。
特にメガバンクや大手証券会社は幅広いビジネスを行っており、ひとことで金融と言っても様々な業務があります。
日系金融機関で自分に合う業務を見つけてスキルアップすることもいいかと思います。
外資系金融は一般的には部門採用であり、前向きな異動というのは少ない印象です。もちろんゼロではありませんが、ハードルは日系より高めの印象です。
社費で海外留学のチャンス(MBA)
日系金融機関に勤務する大きなメリットです。若手で金融機関に勤務されている方は絶対にMBAにチャレンジすることをおすすめします。
私は意識が低すぎて海外MBAには全く興味がなかったのですがチャレンジしておけばよかったと本当に後悔しています。
私の同期もかなりの人数が海外留学を勝ち取りとんでもなくいい米国のトップスクールに留学していました。
元々能力が非常に高い本人たちがとてつもない努力をして勝ち取ったものなので自分にできるかどうかはわかりませんが、留学した皆はすべからくいい未来が開けています。
英語が苦手だった人は自由に英語を駆使できる様になり、元々英語に問題なかった人は洗練されたビジネス学を習得して帰ってきました。
会社に戻ってからもいいポジションにつけ、人によっては留学中につちかった人脈を使って仕事につなげていました。
ただ、みんな留学したらすぐ会社を辞めてしまうことも多く、今の会社がどこまでこの制度を維持してくれるかは分かりません。逆を言えばかなり転職しやすくなります。
会社によっては5年以内に転職するとかかった学費全額を返還請求されるので注意しましょう笑。
最近ではみずほ証券から社費でMBA留学に行き、卒業後する転職して授業料返還の裁判が結審されました。結果は留学生が敗訴しています。
”先進国”に海外駐在できるチャンスがある
人によって意見は違うと思いますが、先進国に海外駐在できるチャンスがあることが個人的には一番のメリットだと考えます。
外資では中々できない海外勤務が日系金融機関ではできる可能性があります。
もちろん数は少ないので狭き門ですが少しでも興味があれば絶対経験すべきだと考えます。
特に小学校、中学校のお子様がいらっしゃる場合は絶対おすすめです。お子様次第で現地校になじめない人たちもいますが、本当に一部の方しか経験できない貴重な経験です。
将来自動翻訳機ができても海外に暮らすという経験は代えがたいものがあります。
働く方ご自身にとってもその国の独特の雰囲気に浸かって生活するという経験ができるならば絶対にすべきだと個人的に考えます。
金融機関での駐在がいいのはまず、ほとんどの場合先進国にいけることです。コロナで難しいとは言え、先進国の金融センターが対象となりますので例えば米国だとニューヨーク(VC系だとサンフランシスコやロサンゼルス?)、欧州だとロンドンやフランクフルト、アジアではシンガポールや香港といったところです。
それぞれいい面、不便な面ありますが家族やご自身の健康や治安の心配なく(コロナ以外)過ごせるという意味では最高の経験になります。旅行でちょろっと行くのも楽しいですが、実際に生活するとまた違った魅力があります。
特に欧州は、例えば週末だけを使ってスペインに旅行するとか、イタリアでご飯を食べて帰るとかできるので、最高です。飛行機代もシーズンによりますが5000円くらいで行けます。
駐在で待遇がいいのは総合商社が有名ですが、金融機関も概ね遜色なく好待遇です。
昔に比べると大分旨みはなくなったそうですが、家賃を負担することはほぼなく、物価に合わせて給料も上げてくれるのが一般的です。
家賃手当もろもろ含めて2000万円はいくと思います。外資系金融のトップクラスにはかないませんが、相当いい暮らしができます。
正直現地での外資系金融(表現おかしい)の人よりも好待遇でめちゃくちゃいい場所に住めます。先進国にほぼ行先が絞られるという意味では好みの問題ですが金融機関の方がいいのかもしれません。
もちろん日系金融機関勤務にはデメリットも・・・
もちろんいいことづくめであれば私も日系金融機関から転職はしません。外資系金融に転職してみて振り返ってデメリットと思った点をご紹介します。
日系金融機関のデメリット
- ”相対的に”給料が安い
- 決裁プロセスが煩雑、長い、会議が多い、長い、長い
- 理解できないローカルルール
”相対的に”給料が安い
大手の金融機関の収入は一般的には非常に高いです。40代で1000万円はゆうに超えます。
それでも全く同じ業務をする外資系はその倍以上の収入があります。
福利厚生や生涯収入で考えるとどこまで外資が有利かというのは冷静に考える必要がありますが、今その時点での収入も人生を設計する上では重要な指標ですし、何より同じ仕事をしていて給料が倍以上違うのは納得いかないかもしれません。
これは現在の日系の金融機関は部署間や職種間での給与格差を大きくできないことが要因だと考えます。
稼ぐ金額が大きく違っても差を付けられない結果ほぼ横並びの給与になってしまうのです。ただ、そもそもが高い水準なのでデメリットというほどでもないのかもしれません。
決裁プロセスが煩雑、長い、会議が多い、長い、長い
様々な決済をとる際に会議体にかけることが多いと思いますが、会議の前に事前説明を行い根回しします。
一つのことを決めるのにえらい人たちが5人いたら、事前説明に1時間×5、本番会議に1時間、計6時間かかります。
その上で説明の為の資料作成に何時間もかけ、上司から会社のルールと個人の好みにのっとった記述にするために赤ペン先生され、秘書たちとエライ人たちの日程調整する為にまた2,3時間かけるという、とてつもない労働が必要でした。
個人的には赤ペン先生と事前説明は心理的負担が大きかったです。
事前説明を無くすと本番でドン詰めされ終了しますが、事前説明をしていると業務に理解のないエライ人がすっとんきょうな質問責めをしてきてどっぷり疲れます。
外資系金融に入って明らかに違うと感じたのは(もしかしら今の会社だけなのかもしれませんが)、基本決裁権限者は経験が長く業務にも精通しているため、事前説明はほぼ不要で会議でツメツメされますが全てまともなものなので違った緊張感があります。
経験者だけで決定をするのもまた危ういかもしれませんが、それでも個人的なストレスは全然違います。
それ以外のミーティングも基本時間で切るのでだらだら長引くことは少ないです。もちろん案件についてのミーティングは究極まで突き詰める必要があるので数時間に及ぶことはざらにあります。
日系金融機関では余り意味の無い会議で平気で2~3時間使いますが、今の職場では同じようなテーマでそこまで長引いたことはありません。必要な場合は膝詰めて時間をかけて結論を出すべきですが、経験則上8割くらいは無駄な時間です。時間は有限です。無駄な時間を使わせるのは時間泥棒です。
ハンコもペタペタ押して回覧するのが億劫でした。新卒のころはハンコの角度までご指導いただきげんなりしました。都市伝説だと思っている方、いらっしゃったらこれ本当の話です。
まあ挙げるときりがないですが、個人的には日系の様々な決裁プロセスが肌に合いませんでした。
理解できないローカルルール
これも個人の好みですが、例えば出社時間の厳守です。
もちろん社会人として時間を守ることは当たり前ですが、始業時間10分前には出社し、それ以降遅れた場合は実質遅刻扱いといわれた時はげんなりしました。
また、朝早く出社して(今はもうありませんが)夜遅くまで残業することが美学みたいな意味不明な文化も好きではありませんでした。私がいた部署は比較的柔軟にしてくれたので良かったですが。
また、上記と関連しますが収益に全く結びつかないような報告用の仕事が大半を占めるというのは正直耐え難い部分ではありました。
もちろん全ての部署ではありませんが、この報告用作業がなくなればワークライフバランスは各段に改善すると考えます。
ただ、そうすると使えない人たちがあぶりだされてしまうので恐らく改善はしないのでしょう。
その他、会社によっては社員バッジを必ずつけるだとか、風紀に関する訓示やエライ人からのありがたいお話を拝聴する意味の全くない朝礼等、自分の機嫌が悪いときは正直耐え難いものがあります。
最強ルートは日系金融→MBA留学→駐在→外資系?
もちろんいやな思いも沢山しましたが、非常にラッキーなこともあり私は人と業務に恵まれ概ねいい経験を前の職場ではさせていただきました。
本当に感謝しています。もちろんめぐりあわせなのでそこにいた人が自分と合わなければこのように感じたこともなかったかもしれません。
個人的な好みで選ぶとしたら、以下のルートがいいとこどりでいいのではと思っています。留学は行ってませんが概ねいい思いをさせてもらったと思っています。
①日系金融機関に就職して頑張って自分にあった職種につく
↓
②めっちゃ頑張って海外留学(MBA)にいく(28~30歳)
↓
③さらに頑張って海外駐在にいく(30歳~35歳)
↓
④辞めて外資系金融に転職(33歳~35歳)
30代半ばでの転職は少し遅めに感じるかもしれませんが決して珍しくありません。
私もそれくらいで転職しました。どうせだったら日系金融機関でのメリットを享受できるだけしてしまい、転職したいものです。
特に社費での海外留学、海外駐在はまず外資系金融では経験できない貴重な体験になるはずなので、チャレンジしない理由は見当たりません。
日系金融機関から外資系金融へ転職を考えている方は↓もご参照ください
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