SBIソーシャルレンディングで不正が発覚、金融庁からは業務停止命令が出ます。SBIは事業の撤退を決めています。日本のソーシャルレンディング投資は個人的にはリスクに対してリターンも割に合わず危険だと考えます。
私個人も新しい投資手法として一時注目しており、2015年あたりから3年程度ソーシャルレンディングに投資をしてみましたが、今は投資していません(いまだに投資回収中です)。
その理由を説明していきます。
Contents
ソーシャルレンディング投資が危険だと思う理由
ソーシャルレンディングが危険だと思う理由はいくつかありますが、大きく分けると①不正リスクの高さと②リスクリターンが合わないということだと考えます。
ソーシャルレンディングが危険だと思う理由:不正リスク
ソーシャルレンディングが危険だと思う理由の一つは不正リスクです。
もちろん銀行でも不祥事は多発していますが、銀行は間接金融ということや、規模が大きいということもあって投資家に該当する預金者が不祥事のせいで損失が発生することはありません。
もちろん、不祥事が大きいとスルガ銀行の様に経営危機はありますが。スルガ銀行とノジマの対立、資本提携解消後どうなるのか?【副会長退任】
しかしソーシャルレンディングは貸付先に不正があれば投資家に損失がモロにきます。場合によっては運営業者が倒産する可能性もあります。
ソーシャルレンディングの不正リスクは上場企業傘下のSBIソーシャルレンディングでさえ顕在化
SBIソーシャルレンディング不祥事概要:貸付先の実質的な運営会社のテクノシステムの運転資金に流用(社長は逮捕)
詳細は各マスコミが伝えている通りですが、ざっくり申し上げると、投資対象となっていたはずの太陽光プロジェクトへの融資ではなく、プロジェクト運営会社本体の運転資金に流用されてしまったということです。
運営会社はテクノシステムというあの小泉孝太郎がイメージキャラクターを務めている企業です。
一時は上場準備をしていた様ですが内情は厳しく、実際に行う予定であった太陽光プロジェクトも手に付けられないほど資金が枯渇しており、不正に手を付けたようです。
テクノシステムの社長は不正に融資を引き出したとして逮捕されています。
しかもカジノ好きとしてすっぱ抜かれています。
ソーシャルレンディングの危険さを表す不祥事の多さ
今回のSBIソーシャルレンディングの様なトラブルは過去他の事業者でも複数回起きています。
ざっと思い出すだけでも以下の通りです:
ポイント
- みんなのクレジット・・・運営会社の関連会社へ資金が流出
- ラッキーバンク・・・運営会社の親族経営会社へ資金が流出
- トラストレンディング・・・一部役員へ資金流出
- maneo・・・グリーンインフラレンディング(不正流出、その後破産)
特にmaneoについては元社長がお亡くなりになっているという報道がありました。
もちろんソーシャルレンディング不祥事との因果関係は全く分かりませんが。。。
大手でさえガバナンスが効いていない事業構造
リスクを取った結果損失発生というのは仕方がないとして、そもそも認識しているリスクとは全く別のリスクを投資家が取らされているというのは投資家からするととんでもない話です。
例えば銀行でも資金の不正融資などは起こりますが、母体が一応しっかりしているため、我々の預金が危険にさらされることはありません。
ただ、ソーシャルレンディングは事業規模が銀行ほど大きくなく、いちど不正があればプラットフォームそのものが危険にさらされるということになります。
今回のSBIは母体が上場企業としっかりしているため、最終的に投資家の損失はなさそうなのは何よりですが、それでも私は
「上場企業グループが運営をしていてさえも不正が発生し投資家が危険にさらされる」
というソーシャルレンディングは投資の観点から割に合わない受け止めています。
ソーシャルレンディングが危険だと思う一番の理由:多くの貸付先がリスクとリターンが見合っていないこと
日本国内の事業で、資金調達を行う一番の方法は銀行や信金、信組からの融資です。日本での事業であればある程度まっとうで財務内容もまともであれば現在であれば低金利で融資という形で資金調達が可能です。
財務内容が余り良くなくても優良な担保があれば少し金利が高くなりますがノンバンクなどからの借入が可能です。
事業開始間もないベンチャー企業でも、制度融資等を活用すれば一定規模の金額を借り入れることができます。ある程度軌道に乗れば銀行からの融資の道も開けます。
日本の資金調達市場は銀行(信金、信組含む)が支配的なシェアを持ち、そこから漏れてしまう事業者はノンバンクなどから調達します。
誤解を恐れずざっくり言ってしまうと、銀行からもノンバンクからも借り入れることができず、そして制度融資その他資金援助も活用できない事業がソーシャルレンディングの対象になるということです。
そこに加えてガバナンスが貧弱で不正融資が続出するという投資がソーシャルレンディングです。
投資リスクが高い分リターンが高いといわれればそれまでですが、不正リスクありで4-10%程度のリターンであれば私は別の投資を選びます。
ソーシャルレンディングが危険なのであれば、代替投資先は?
ソーシャルレンディングが危険で投資の割に合わなければどのような代替投資先があるのでしょうか?
ソーシャルレンディングのインカム収入に着目していたのであれば上場リートや高配当株式等の証券投資の方が無難
特にソーシャルレンディングに投資する理由としては高いインカムリターン(配当率/金利)が理由だと考えます。
であればありきたりJリートや商社などの高配当株に投資をする方がよほど健全な投資だと考えます。
配当率だけみれば個別で4%を超えるリートや商社株などは存在します。
上場証券は日々の値動きがあるのでイヤだと思う方がいらっしゃいますが、ソーシャルレンディングの投資もリスクが顕在化すれば元本割れを起こします。
また、これも好みの問題ですが、何かあった時はすぐに撤退できる流動性があります。
どうしてもソーシャルレンディングやクラウドファンディングに投資したいのであれば上場企業が運営しているところが望ましい
どうしてもクラウドファンディングにこだわり投資をしたいという場合は投資先の運営者を絞ることをお勧めします。
個人的にはロードスターキャピタルあたりは安心感があるかと思います(投資リスクは別の話です)。
取っているリスクは不動産の現物とほぼ同じですので、貸付型に見えるスキームはある意味ミスリーディングですが、ブリッジでソーシャルレンディングで資金を調達して、低金利で銀行等から融資を受けるか転売しているビジネスモデルに見えるので、ある意味納得感はあります。
上場企業であれば不正が起こるリスクを抑えられますし、仮に不正があったとしても体力があればSBIの様に投資資金は戻ってきます。もしくはベンチャーキャピタルから出資を受けている運営者は上場企業には劣りますがまあ及第点かもしれません。
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ソーシャルレンディングの危険性まとめ
ソーシャルレンディングは、不正リスクやそもそもの融資先のリスクから考えるとやはり割に合わないと考えます。
インカム収入狙いであればリートや高配当株をお勧めします。
それでもソーシャルレンディングやクラウドファンディングに投資したいのであれば、運営業者が上場企業か、少なくともベンチャーキャピタルから出資を受けているところを選ぶのがよいと考えます。