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ゴールドマンサックスも投資増額を予定するデータセンター投資とは

ゴールドマンサックスのマーチャントバンキング部門(投資部門)が、日本国内の不動産投資額を倍増させるという報道がありました。

従来の1000~1500億円から一気に2500億円の目標だそうです。

この報道が本当であるとしてゴールドマンがどのような考えを持っているのか、読み取れることは二つあると考えています。

個人的には以下の2つのポイント化と思いますのでそれぞれ推察していきたいと思います。

ポイント

  • 世界からみても日本の不動産はまだ投資妙味がある
  • ただし、全ての不動産が魅力的というわけでなく、フォーカスしている不動産の種類は限られている


Contents

ゴールドマンサックスのマーチャントバンキングとは

ゴールドマンサックスは世界最高峰の投資銀行として知られています。

マーチャントバンキングとは名前は銀行っぽいですが、業務の中身としてはその企業が運営するファンドもしくは自身のバランスシートを使った投資業務のことを指します。

メジャーどころの投資銀行はグループにこのマーチャントバンキング機能を持っており、ゴールドマンサックスも例外ではありません。

ここでいう投資業務というのは、例えば上場、未上場に関わらない買収案件や不動産投資、不良債権投資など多岐にわたります。

当時マーチャントバンキングの位置づけだったかどうかは記憶が定かではありませんが、ひと昔前はREPIA(Real Estate Principal Investment Area)という不動産投資部隊とASSG(Asia Special Situations Group)という不動産、不良債権、企業買収なんでもできるスペシャルシチュエーション投資グループがあったと記憶しております。

ASSGで手掛けていた特大ホームラン案件は三井住友FGと大和証券Gと共同で手掛けた三洋電機の買収案件が懐かしいですね。この案件で1000億円以上の利益を上げたはずです。

最近ではマーチャントバンキング部門とアセットマネジメント部門の統合が予定されていると聞きましたが進捗については分かりません。

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ゴールドマンサックスが日本の不動産投資を倍増させる背景

冒頭でゴールドマンが日本不動産への投資額を倍増させるのは二つの意味を読み取れるといいました。それぞれ解説していきます。

ポイント

  • 世界からみても日本の不動産はまだ投資妙味がある
  • ただし、全ての不動産が魅力的というわけでなく、フォーカスしている不動産の種類は限られている


 世界からみても日本の不動産はまだ投資妙味がある


これは投資額を増やすのだから当たり前の話になります。

理由も単純化をすることができ①超低金利で借入を行い賃料からのさや抜きが容易(イールドギャップと呼びます)であることと、②我々からすると未だ深刻な問題ですが、コロナによる被害が欧米と比較するといくぶんかマシという点です。

低金利で借入(例えば0.5%)でお金を借り手、利回りが3.5%程度の不動産に投資をすれば元本返済の部分を考慮しなければ3%の差額で収益を稼ぐことができます。このイールドギャップが他の国の都市と比べても東京や大阪は歴史的に高いのが特徴です。

 ただし、全ての不動産が魅力的というわけでなく、フォーカスしている不動産の種類は限られている

だからといってなんでも投資対象として魅力的かといえばそうではありません。

やはり商業施設やオフィスは今は中々機関投資家が手を出しづらいというのは日本に限ったことではありません。

もちろん、個別案件で見ればいいものはあるかもしれませんし、大規模な投資額のものであれば電通の本社ビルの様に売れるものもあります。

報道で印象的だったのが、「物流施設とデータセンター」にフォーカスしているということです

物流施設については先日別の記事で詳しく書いているので↓をご確認ください。サプライチェーンの構造変化、すなわちオンラインショッピングの浸透により引き続き追い風が世界中で吹いている物件種類です。

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今回はデータセンターについて少し触れていきたいと思います。

アマゾンも25億ユーロ(約3000億円)をスペインのデータセンターに投資

米国のアマゾンも25億ユーロ(約3000億円)を投じてスペイン北部アラゴン地方に新たなデータセンターを2022年半ばに開設することを発表しています。

センター建設、機器の輸入、雇用する従業員1300人の給与などに10年かけて上記の金額を投資する様です。

投資家だけでなく、実業でもデータセンター需要があるという一つの証左になるかと思います。

ゴールドマンサックスが注目するデータセンターとは

データセンターとは、サーバーやIP電話等のデータ通信装置の設置・運用に特化した施設を指します。

普段我々が仕事やプライベートで使用しているネットワークはサーバーを経由して機能しています。

サーバーは物理的に設置をする必要があります。イメージでいうと↓こういうやつです。

データセンター投資

ゴールドマンサックス等がなぜデータセンター投資が注目されているのか

物流施設の台頭と少し似ている部分はありますが、ITは今後ますます重要性を帯びていきます。

我々の生活にこれだけ入り込んでいますが、スマートフォンでできることはまだまだ増えていきます。

企業が使用するデータもどんどん容量が増えていきます。

通常の企業がビッグデータを当然の様に扱う世界になると今のインフラでは到底足りないでしょう。

そうなるとそのデータ通信をさばくインフラは必須となっていきますし、どんどん需要も増えていきます。

単純に説明すると上記のような感じで需要が増えることがあっても減ることは想像できません。

データセンター投資の特徴

データセンター投資、開発には主に5つの重要な条件があります。

今この条件を満たす立地は首都圏で言えば千葉県の印西で、既にデータセンター開発がさかんに行われているといわれています。

  • 災害リスクが低いところに位置すること
  • 都市部から概ね50キロ圏内に位置すること
  • 電力確保ができる立地であること

災害リスクが低いところに位置すること

これは想像にむずかしくない点です。

地震、洪水/津波、火災等でデータセンターが機能しなくなった場合、とてつもない損害が発生します。

当然のこととは言えこのようなリスクを低いところに立地すべきというのは大前提となります。

都市部から概ね50キロ圏内に位置すること

インターネットは複雑に張り巡らされていますが、ネットの接続点というものがあり、それは都市部に集中しています。

安定的なデータ提供と通信遅延リスクを鑑みると都市部から近いところに位置する必要があります。

また、人員配置の観点からも都市部から余り離れていないところに設置する必要があるといわれています。

電力確保ができる立地であること

.これも想像しやすいかもしれませんが、データセンターは消費する電力は非常に多く、通常の電力の何倍も消費をします。

だいたい6万~7万ボルトの特別高圧で受電できる立地である必要があります。

発電所と考え方は似ていますが、電塔から離れれば離れるほど電気供給も難しくなり、電力確保のためのコストが跳ね上がります。

従って、災害がなさそうな場所でも電力を確保できなければ意味がないということになります。

データセンター市場の予測

データセンターは物流施設と同様、ファンダメンタルズを見ても右肩上がりで規模は成長していくと思われます。

また、キャップレート(利回り)は今がオフィスやその他伝統的なセクター(オフィス、住宅、商業施設、物流施設)より高いですが、ものが増えてきて売買が活発になれば利回りが下がり価格が上がると思われます。

現に物流施設は近年利回りの下落が著しく価格が上昇しています。

リスクは一般論でいえばテクノロジーの大幅な発達であると考えます。

まず、技術革新でサーバー等の機器が小型化していけば必要な面積が小さくなります。

冷却が不要な機器が開発されれば冷却コストも下がります。

ケーブル等が進化すれば都市部へに距離が遠くても良くなるかもしれません。

物流施設は物質を圧縮化する技術でもできない限りは少なくとも面積は必要であり続けるでしょうから、このマクロ的なリスクはデータセンターと物流施設の違いと言っていいと思います。

ただ、少なくとも中期的な観点からはデータセンター投資は追い風が続いていくと考えます。

データセンターに投資するには

残念ながらデータセンターそのものに個人を投資するには選択肢が限られています。

米国リートであればデータセンター専門のものがありますが、Jリートにはありません。

三菱商事と外資系投資銀行のUBSが共同で運用している産業ファンド投資法人(証券コード3249)に一部データセンターが組み入れられている以外は見つかりません。

三菱商事は米国デジタルリアルティと合弁でMCデジタルリアルティという会社が2017年に立ち上がっている様ですが残念ながら今のところ個人で投資できるものではなさそうです。

もしかしたら市場が盛り上がってきたらJリートでも新規上場があるかもしれませんので見守りたいと思います。



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