外資系金融と余りひとくくりにされませんが、いわゆる不動産ファンド(不動産金融)と呼ばれる業界をご紹介します。投資銀行とは違いますが、同じくらいレベルの高いプロフェッショナルが収益を上げ、給与も高水準です。
少しでも不動産ファンド業界に興味がある方の為にまずは存在を知った上で深堀りしていけばいいと思います。
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外資系不動産ファンドとは、日本の不動産に投資をするプロ集団
外資系不動産ファンドとは、主に海外からの機関投資家からの資金を集めて不動産投資を行ういわば投資のプロ集団です。
ファンド自体はグローバルに投資するものもあればアジア太平洋地域でその中の一部の資金を日本に振り分けたり、日本専用のファンドがあったりします。
不動産投資はやはり現地の知識と経験が不可欠なので、外資系とはいえ日本で投資活動を行っている人たちの大半は日本人です。
その中でも相当のやり手で実績を残してきた人が各々ヘッドハントされて投資活動を行っているという図式です。
リーマンショックで一時期低迷していた日本の不動産投資ですが、やはりまだまだ安いということでお金がずっと流入してきていた状態でした。
コロナの状況下でも比較的マシな状況(欧米と比べると)なので不動産に更に注目が集まっており、人も積極的に採用されている印象です。
外資系不動産ファンドの会社一覧
金融系(アセットマネジメント)
いわゆる外資系投資銀行は国内にアセットマネジメントビジネスを運営しています。
全ての企業ではないですが、中には不動産ファンドを運用しており、国内の不動産に投資を行っています。
海外不動産も運用していますがまた別の記事で少し深堀りしていきたいと思います。私が把握している限りでは以下の会社が実際に日本国内で不動産運用を行っています:
投資銀行系不動産運用会社一覧
- ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント
- JPモルガン・アセット・マネジメント
- DWS(旧ドイチェアセットマネジメント)
- モルガンスタンレー・インベストメント・マネジメント
リーマンショック前は投資銀行本体や本体が組成したファンドでリスク高めの不動産をバンバン買っていましたが、その後はリスクを比較的抑えたコア型の投資をメインに行っているイメージです。
ただ近年は日本の不動産も過熱しておりかなりアグレッシブに買っているという印象です。
その他、いわゆる総合的な運用会社も不動産ファンドを運用しています。
投資銀行系不動産運用会社一覧
- PGIM(プルデンシャル)
- TIAA(Nuveen)
- インベスコ
コア型の意味は以下をご参照ください↓
不動産投資を始める前に:リスクリターンの考え方を整理しよう
金融系以外の外資系不動産ファンド
金融系(投資銀行系)以外で不動産ファンドを運用し日本で活動している企業は数多く存在します。
その他外資系不動産ファンド一覧
- ブラックストーン
- フォートレスインベストメント
- PAG
- ベントールグリーンオーク
- ラサール不動産投資顧問
- CBREグローバルインベスターズ
- スターウッドキャピタルグループ
- エートスジャパン
- エリオット
- ローンスター
- オークツリー
- グッドマン
- GLP
- プロロジス
ブラックストーンは不動産だけでなく、会社そのものの買収(PE)等色々な手法を駆使してドカンと投資することができる泣く子も黙るプロ集団です。
規模感でいえばトップに入るイメージですね。フォートレスは今はソフトバンクの関連会社ですが、昔からとてつもないアグレッシブさで知られています。
ローンスターは東京スター銀行(東京相和銀行)を昔買収したファンドですが、不動産でも存在感を示していました。最近ではユニゾホールディングスの非上場化に一枚かんでいます↓
ユニゾホールディングス
グッドマン、GLP、プロロジスは物流施設専門の不動産ファンドです。日本に限らず物流施設は非常に人気があるセクターなので、彼らも非常にアクティブです。
上記はほんの一例で大小合わせると一口に外資不動産ファンドと言ってもかなりの数が日本で活動しています。また、その特徴も国やファンドによって全く違います。
その他
政府系の投資部門でよくSWF(Sovereign Wealth Fund)、すなわち政府系ファンドといわれる運用者です。
-GIC
-NBRE Management Japan Advisors
有名なのはGICでしょうか。シンガポール政府投資公社で今は東京駅八重洲南口にある丸の内パシフィックセンチュリープレースを保有しています。
外資系不動産ファンドの年収は?
外資系不動産ファンドの年収は一般的には投資銀行よりは若干少なめ
一般論ですが、総じて外資系投資銀行よりは低めといわれています。新卒で採用されることがほぼ無いので結局前職の給与水準によって大きく変動しますがざっくり以下のようなイメージでしょうか?
ただ、業績によるボーナスやファンドによっては運用成績が個人の報酬に紐づけられるキャリーと呼ばれるものもあるので、うまくいけば数千万円から億を超える報酬を得ることも可能です。
外資系不動産ファンドの年収水準
- アナリスト ~1000万円程度
- アソシエイト ~2000万円程度
- バイスプレジデント ~3000万円程度
- エグゼクティブディレクター ~4000万円程度
- マネージングディレクター 4000万円~
外資系不動産ファンドは英語力が必要か?
無くてもメインの仕事はできるが、本部とやり取りする為にあった方がベター
不動産ファンドのメイン業務は日本の不動産に投資・運用することなのでそういった意味では英語はほとんどの場合不要です。
ただ、ファンドマネージャーとして海外の投資家に説明をしなければならない場合や、地域や本部の責任者とのコミュニケーションは当然英語になります。特に決裁権限者(大抵は投資委員会ですが)とコミュニケーションをとる場合は英語力が必須になります。
従って円滑に業務を進めるという意味では英語力はあることに越したことはないといえます。
不動産ファンドの具体的な仕事内容を解説【ワークライフバランス】
不動産ファンド業務について詳しく書いてある書籍が↓ですのでもしご興味があれば読んでみてください。
外資系不動産ファンドに転職するには
外資系不動産ファンドに転職するには経験が必要な場合がほとんどなので、未経験での転職は難しいでしょう。
できれば日系不動産で経験を積んで転職するというのが現実的であると考えます。
よりジュニアであれば投資銀行系の業務経験があれば比較的容易にうつれます。
何故なら物件取得にかかる業務(たとえばキャッシュフロー計算やバリュエーション等)は投資銀行業務と重複する部分が多いからです。
日系、もしくは外資系の不動産ファンド転職の為には転職エージェントのサービスを活用するのが現実的です。
いくつか私が体験したサービスを記事にしていますのでよろしけれご参照ください。
エンワールドジャパンは評判通り?コンサルタントとの面談体験談 続きを見る
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不動産ファンドはかなりエキサイティングな業界
不動産ファンドはハードな分、非常にエキサイティングな業界です。
まず扱う金額がとてつもなく大きいです。
その大きな金額を動かす業務は緊張感もありますが得られる知識や経験は他では得難いものがあります。
ぜひチャレンジしてみてください。