ユニゾホールディングス

ユニゾホールディングス記事【会社更生も辞さない社債権者ARCM?】

週間ダイアモンドの記事にユニゾホールディングスの特集がありましたので読んでみたところ、やはり納得のいかない部分がありましたので更に考察してみました。

社債権者であるアジア・リサーチ・アンド・キャピタル・マネージメント(ARCM)は会社更生申立も辞さないというくだりもありましたが、実際どうなるのでしょうか?

既に2度にわたりブログ記事を書いており、重複部分がありますがもしご興味があればご覧ください。

ユニゾホールディングス社債の回収率は?
ユニゾホールディングスは債務超過?社債償還可能性を試算

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週間ダイアモンドにユニゾホールディングスの記事

先週の週刊ダイアモンドでユニゾホールディングスの記事があるので読んでみました。

概ね理解していた通りの内容でしたし、どちらかというとユニゾホールディングスが破綻してしまった場合の地域金融機関への影響に焦点を置いた記事でしたが、ユニゾホールディングス代理人弁護士との取材記事でユニゾ側の主張にいまいち違和感があったので更に考察を進めました。

https://www.diamond.co.jp/magazine/20243041721.html

ユニゾホールディングスの債務超過有無、会社更生申立可能性は?再度考察

ユニゾホールディングス買収後、ローンスター返済後の㈱チトセア投資想定貸借対照表

まず、グループ全体としての資産状況を把握するため、親会社であるチトセア投資の想定貸借対照表を試算します。公告などで確認できるのかもしれませんが、あくまで想定です。

単位:百万円①買収前②ユニゾHD買収④買収後⑤ユニゾHDからの配当⑥ローンスターへの返済⑥返済後想定B/S
現預金206,007-206,0007269,215-269,2157
ユニゾHD株式0206,000206,00000206,000
資産合計206,0070206,007269,215-269,215206,007
借入(ローンスター)151,0000151,0000-151,0000
ユニゾからの借入000216,0250216,025
負債計151,0000151,000216,025-151,000216,025
優先株
(ローンスター)
55,000055,0000-55,0000
普通株(従業員)707007
剰余金00053,190-53,1900
利払いによる損失0000-10,025-10,025
純資産55,007055,00753,190-118,215-10,018
負債・純資産合計206,0070206,007269,215-269,215206,007

まず①買収前ですが、ローンスターから1510億円の借入、550億円の優先株、計2060億円の資金調達を行い買収します。ユニゾHDのTOBにかかった資金とほぼ一致します。

恐らく従業員からの実際の出資はほとんどなかったと思われますので開示資料にある資本金7百万円とします。これが資本準備金と合わせて14百万であろうがあまり大勢に影響はありません。


次に②買収により調達した2060億円を全額ユニゾHD株式に振り分けます。恐らく億単位の弁護士費用他、買収にかかる費用負担があったと推察しますが、とりあえず無視します。


③の通り、買収後のチトセア投資の資産のほとんどはユニゾHD株式となります。


その後、④でユニゾHDが不動産売却で得た利益を配当という形でチトセア投資が吸い上げます。

この配当はユニゾHDの半期報告書には配当金支払が約532億円とあります。親子なので源泉はかからないという想定です。更にユニゾHDから借入という形で2160億円調達しています。


④でユニゾHDから吸い上げた資金をまるまま⑤でローンスターに支払っていると想定します。

まずは借入金と優先株はそれぞれ合計2060億円全額返済と償還したと想定します。


もしかしたらまだ残額が残っていて、ユニゾHDの資産を原資にしてリターンを狙っているかもしれませんが、とりあえず全額優先株含めて返していると想定しておきます。

もし残っているとしたらユニゾHDの社債権者である香港のファンド、アジア・リサーチ・アンド・キャピタル・マネージメント(ARCM)が色々主張するのも無理はありません。


ここまでは飽くまで元本部分です。
ユニゾHDから吸い上げた配当金はチトセアからすると剰余金となるため、優先株の実質配当部分(これは出資時に取り決めした償還条項により、550億円の優先株はほぼ倍の金額で償還しているとみます)。

また、借入の部分については利払いという形で約100億円支払います。
仮に半年で貸付1510億円に対して利払い100億円だと貸金業法違反の金利になる気がしますが、業としてやってないと言い張るのか、はたまた支払いの配分をうまく調整しているのかは不明です。

ローンスターへの返済後は⑥返済後予想B/S(貸借対照表)になります。
出来上がりは子会社から調達した借入金を以って同じ子会社であるユニゾHDの株式を保有するという少し意味不明な資産背景となります。

そして上記の想定通りユニゾHDから吸い上げた配当と借入金を全額ローンスターに支払っていたとしたら約100億円の債務超過です

ちなみに上記の想定が正しいとした場合のローンスターの投資収支以下の通りです。半年で投資回収しているとしたら単純計算でIRR70%くらいになり、投資としては大勝利になります。

優先株式・貸付金合計想定回収額合計想定差引収益
206,000269,21563,215

ローンスターは不動産をはじめとしたファンドですが、不動産以外にも過去に東京スター銀行等さまざまなスペシャルシチュエーション投資が非常にうまい投資会社です。

今回の案件も投資の目線からみればうまくいったという結論なのでしょう。

不動産ファンドについては以下に記事を書いていますのでご興味があればご覧ください↓

外資アセマネ業界は高収入、高ワークライフバランスです
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外資不動産ファンドは専門性が高い職種です。
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ユニゾホールディングスと㈱チトセア投資の想定BSを合算すると表面債務超過に

次に、上記で試算したチトセア投資の想定貸借対照表とユニゾHDの2020年9月時点の連結貸借対照表を合算してより一体での実態を試算してみたいと思います。

結果としては先日の試算と同じなのですが見え方はより包括的になろうかと思います。

単位:百万円チトセア投資
(想定)
ユニゾHD
(2020/9月)
合算調整合算後
現預金755,035055,042
ユニゾHD株式206,0000-206,0000
ユニゾから貸付0216,025-216,0250
その他資産012,869012,869
流動資産合計206,007283,929-422,02567,911
固定資産0198,4480198,448
総資産206,007482,377-422,025266,359
有利子負債0300,2550300,255
ユニゾから借入216,0250-216,0250
その他負債016,869016,869
負債計216,025317,124-216,025317,124
純資産-10,018165,253-206,000-50,765
負債・純資産合計206,007482,377-422,025266,359

前項目で算出した㈱チトセア投資の想定貸借対照表と、2020年9月時点のユニゾホールディングスの連結貸借対照表を合算してみました。調整の内容は以下の通りです。

まず、チトセア投資のユニゾHD株式2060億円は、100%子会社であるユニゾHD自身と合算するので純資産と相殺します。

ユニゾHDが有しているチトセア投資宛の貸付金2160億円は貸付先の親会社と合算するのでチトセア投資の借入金と相殺します。

そうすると約508億円の”表面債務超過”となり、週刊ダイアモンドの記事で社債権者である香港のファンド、アジア・リサーチ・アンド・キャピタル・マネージメント(ARCM)の主張とピッタリになります

ローンスターがまだチトセア投資に優先株や貸付金の残高があるか不明ですが、本試算では既に全額投資回収してEXIT済という前提で話を進めると、通常であればオーナー会社でもないユニゾHDの買収したハコであるチトセア投資がユニゾHDと合併しない理由がまさにここにあります(この試算が正しければです)。

合併してしまうと表面債務超過になってしまい、おそらく金融機関からの資金調達にますます支障をきたす恐れがあるからです


通常オーナー一族の資産管理会社でもないのに買収会社と合併しないままのストラクチャーを取るのが若干違和感がありましたが、上記の推察が正しければ合点がいきます。

週刊ダイアモンドで、ユニゾHDの代理人弁護士とのインタビュー記事が載っていてまさにこの貸付金を記者が指摘した時の反応が正直少し意味不明でした。


第一にチトセア投資からした子会社からの貸付金の返済原資は借入先である子会社からの配当金という、既に意味が分からない状態の中で、親子一体で考えれば貸付金が消滅するというような回答でした。

第二に、貸付金の資産性を問われても、意見書は取得しておりユニゾHD全体でどのような資産を持っていて収益を上げているかに注目すべきとし、ユニゾHDは大幅な資産超過、含み益、営業黒字かつ営業CFも黒字であると反論しています。

つまり、そもそもユニゾHDは大幅な資産超過であり、CFも出ているので、貸付金の返済原資である配当もチトセア投資に出せる経営状態であり、貸付金の資産性は十分あるという意味であれば何となくわかりますが。。。

それって子会社に損失飛ばして少しずつつじつま合わせようとしてたオリンパスの親子逆バージョンに見えなくもないような。。。まあ上場していないので、単純比較はするべきでないですが

ARCMはユニゾホールディングスの会社更生を本当に申し立てるつもりなのか?

また、ローンスターが残っている場合はARCMが会社更生申立も辞さないというのは社債権者としてはうなずけるスタンスです。ただし、本当に会社更生を申し立てるかどうかについては分かりません。

担当弁護士との会話である程度ローンスターの存在有無が確認できたのであればおそらく申立てはしない可能性もあります。なぜなら会社が生きている状態で法的整理を申し立てること自体が企業価値を毀損する行為になるからです。

ローンスターがいなければ社債権者も会社更生を申し立てる前に金融機関との交渉状況をつぶさに確認することでしょう。あわよくばARCMが保有している社債含めて借り換え(リファイナンス)してもらう算段かもしれません


仮に100円の社債を24円で投資して、リファイナンスで90円でも帰ってくれば3倍以上の回収です。社債投資としては破格のリターンです。

これがスペシャルシチュエーション投資です。

ただし、もしローンスターがチトセア投資の優先株主や債権者として残っていればユニゾホールディングスの資産を守る為に会社更生を申し立てる可能性はあります

ユニゾホールディングスの債務超過有無は結局は含み益次第、会社更生等法的整理の可能性は金融機関支援がカギ

前項目で試算した合算貸借対照表では少なくとも表面債務超過でしたが、結局はユニゾHDが主張している不動産(固定資産)の含み益次第ということかと思います。表面債務超過と実質債務超過は問題の深刻さが違います。

単位:百万円合算後含み益含み益勘案後
現預金55,04255,042
その他資産12,86912,869
流動資産合計67,91167,911
固定資産198,448100,000298,448
総資産計266,359100,000366,359
有利子負債300,255300,255
その他負債16,86916,869
負債計317,124317,124
純資産-50,765100,00049,235
負債・純資産合計266,359100,000366,359



ユニゾHDの主張通り1000億円の含み益があるならば上記の試算のとおり、実質的には資産超過になります。
ただ、ダイアモンドの記事では270億円の含み益とありますが、それでは実質債務超過の解消には至りません

もちろん中身を見てみなければ分かりませんが、実態はやはり債務超過に近いのではないでしょうか?

そこまで含み益のある物件であれば真っ先にローンスターに処分させられていたはずですので。。。私が以前試算した清算貸借対照表評価ほど低くはないかもしれませんが。

ユニゾホールディングスの問題を再度考察してみる

いずれにしろ、ユニゾHDとしては最低でもチトセア投資と一体で実質資産超過であることを金融機関に納得してもらわないと追加支援は非常に厳しいでしょう。

1000億円の含み益はどのように説明するのでしょうか?おそらく第三者の鑑定評価を取る以外の選択肢はなさそうですが果たして。。。

ユニゾホールディングス社債償還の2021年5月あたりをめどにまた動きがあるか

ユニゾホールディングス社債の回収率は?

ユニゾホールディングスに動きがあるとすれば社債償還の5月近辺になるかもしれません。

記事では担保提供していない不動産は多数あり、それらを担保に差し出すことで支援可能性はあるとのことです。

一部の金融機関が支援を表明すれば短期間での資金繰りはとりあえず切り抜けることができると思いますが、問題は続くことになるでしょう。

引き続き注意深く見ていきたいと思います。





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