ユニゾの価値は今いくらなのでしょうか?本日のブルームバーグ記事でユニゾホールディングスが借り換え含めて640憶円の融資を打診したとありました。金融機関はこれに応じるのでしょうか?応じない場合はどうなるのでしょうか?また清算価値を算出して債券(権)価格も検証します。
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ユニゾホールディングスが銀行団に640億円の融資を要請
昨日↓の記事を書いていたら、早速今日新たな記事が出てました。
ブルームバーグの記事によるとユニゾホールディングスが銀行団に対して借り換えを含む計640億円の融資を要請したとのことです。
既に要請していた200億円に加えて新たに2021年7月から2022年1月までに計640億円の段階的な融資をお願いしているみたいです。
融資の際は当然でしょうが担保提供を前提としており、一部を社債の償還に充てると書いてありました。その他50億円の不動産売却を計画している様です。
業績予想も明らかになり、2021年度は売上160億円、経常損益▲16億円の赤字、2022年は184億円、経常損益▲5億円の赤字です。
やはりホテルの稼働率もコロナの影響を受けて非常に悪いうえに、おそらくローンスターに買収資金を返済する為にめぼしい資産も売却済かもしれません。
銀行団が融資に応じるかどうかは不明ですのでユニゾホールディングスは今後も正念場が続くと思います。
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ユニゾホールディングスの今後を考察
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ユニゾホールディングスはやはり実質債務超過かもしれない
2020年9月の半期報告書を基にユニゾの実質債務超過を確認してみたらやはり債務超過にみえる
EDINETで2020年9月の半期報告書がありましたので、連結ベースでの債務超過をチェックしてみました。以下の通りの試算結果で、実質債務超過でした。端数ずれてるのはご容赦ください。
2020/9/30資産 (単位:百万円) | 簿価 | 時価調整 | 清算価値 | 調整内容 |
現預金 | 55,035 | -50 | 54,985 | 直近の社債償還を反映 |
売上債権 | 1,918 | -21 | 1,897 | 引当金を反映 |
短期貸付金 | 216,025 | -216,025 | 0 | 実質ローンスターへ資金流出、価値ゼロ |
その他 | 10,951 | -5,476 | 5,476 | 内容不明の為、掛け目50% |
流動資産計 | 283,929 | -221,572 | 62,358 | |
建物 | 87,448 | 13,117 | 100,565 | ダイアモンドの記事では計270憶円の含み益 |
土地 | 66,679 | 10,002 | 76,681 | 同上 |
信託建物 | 9,201 | 1,380 | 10,581 | 同上 |
信託土地 | 13,056 | 1,958 | 15,014 | 同上 |
その他有形固定資産 | 6,256 | -3,128 | 3,128 | 内容不明の為、掛け目50% |
無形固定資産 | 214 | 0 | 214 | 借地権。一応簿価通り |
投資有価証券 | 13,117 | -9,182 | 3,935 | おそらく換金不可能も一応掛け目30% |
その他固定資産 | 2,477 | -2,477 | 0 | おそらく価値なし |
固定資産計 | 198,448 | 11,671 | 210,119 | |
資産合計 | 482,377 | -209,901 | 272,476 |
2020/9/30負債 (単位:百万円) | 簿価 | 調整 | 調整後負債 | 調整内容 |
短期借入金 | 800 | 0 | 800 | |
社債 | 104,000 | -50 | 103,950 | 直近の社債償還を反映 |
長期借入金 | 195,455 | 0 | 195,455 | |
有利子負債計 | 300,255 | -50 | 300,255 | |
その他負債 | 16,869 | 0 | 16,869 | |
負債合計 | 317,124 | -50 | 317,124 | |
純資産(資産合計-負債合計) | 165,253 | -209,851 | -44,648 |
流動資産の中ではチトセア投資に対する貸付金はおそらく返ってこないのでゼロ評価です。固定資産はダイアモンドの記事によると不動産は約270億円の含み益があるとのことなのでそれを反映させてます。
投資有価証券は流動性があればこれは真っ先に処分していたでしょうが、していないのでおそらく価値は見込めないでしょう。一応ゼロにするのは忍びないので30%の評価を付けました。
結果、2020年9月時点での簿価約4823億円に対して、実質的な清算価値は2725億円と見積もりました。もちろんこの信頼性は保証できません。
それに対して負債総額は3171億円です。調整後の資産2725億円からこの負債総額3171億円を差し引くと約446億円の債務超過になります。
これは連結ベースであることと、詳細の資料がないのでどこまで正確かは分かりませんが、いずれにしろ不動産によほど含み益がないと債務超過であることが見て取れると思います。
実質債務超過の企業に銀行団は果たして融資をするのか?
メインバンクであればあるいは銀行は実質債務超過があっても融資を行うことがあります。ただし、そうでない場合はよほどのことがないと融資を判断することが難しいのではないでしょうか?
できるとすれば不動産を担保提供して、高い金利で融資を受けることでしょうが、おそらく融資の審査に引っかかると思います。
銀行以外の貸し手に高金利で調達する方が現実的かもしれませんが、金利コストがかさむとその場しのぎになってしまい長期的には悪い結果をもたらす可能性があります。
ユニゾホールディングスが倒産(清算)した場合は、債権者にいくら返ってくるのか?
ざっくり試算した結果、一般債権への清算配当率は63.3%
上記の実質債務超過の試算を基に、今会社を清算したら社債権者に戻ってくるのはどれくらいかを試算しました。もちろんこれもざっくりとした計算なので色々間違っている可能性があります。
また、あくまで2020年9月の数値を基に作成しているのでこの半年で大きく金額に動きがある場合は全く参考にならないので注意が必要です。
2020/9/30資産 (単位:百万円) | 簿価 | 時価調整 | 清算価値 | 担保提供 | 預金相殺 | 一般債権者へ |
現預金 | 55,035 | -50 | 54,985 | 0 | -54,985 | 0 |
売上債権 | 1,918 | -21 | 1,897 | -77 | 0 | 1,820 |
短期貸付金 | 216,025 | -216,025 | 0 | 0 | 0 | 0 |
その他 | 10,951 | -5,476 | 5,476 | 0 | 0 | 5,476 |
流動資産計 | 283,929 | -221,572 | 62,358 | -77 | -54,985 | 7,296 |
建物 | 87,448 | 13,117 | 100,565 | -43,003 | 0 | 57,562 |
土地 | 66,679 | 10,002 | 76,681 | -6,241 | 0 | 70,440 |
信託建物 | 9,201 | 1,380 | 10,581 | 0 | 0 | 10,581 |
信託土地 | 13,056 | 1,958 | 15,014 | 0 | 0 | 15,014 |
その他有形固定資産 | 6,256 | -3,128 | 3,128 | 0 | 0 | 3,128 |
無形固定資産 | 214 | 0 | 214 | 0 | 0 | 214 |
投資有価証券 | 13,117 | -9,182 | 3,935 | 0 | 0 | 3,935 |
その他固定資産 | 2,477 | -2,477 | 0 | 0 | 0 | 0 |
固定資産計 | 198,448 | 11,671 | 210,119 | -49,244 | 0 | 160,875 |
資産合計 | 482,377 | -209,901 | 272,476 | -49,321 | -54,985 | 168,170 |
清算費用 | 3.0% | -5,045 | ||||
法人税引当 | -25,000 | |||||
退職手当 | 人件費1年 | -3,500 | ||||
(A)一般債権者への配当原資 | 134,625 | |||||
2020/9/30負債(単位:百万円) | 簿価 | 調整 | 調整後負債 | 担保権者 | 預金相殺 | 一般債権者 |
短期借入金 | 800 | 0 | 800 | 0 | 0 | 800 |
社債 | 104,000 | -50 | 103,950 | 0 | 0 | 103,950 |
長期借入金 | 195,455 | 0 | 195,455 | -49,321 | -54,985 | 91,149 |
有利子負債計 | 300,255 | -50 | 300,205 | -49,321 | -54,985 | 195,899 |
その他負債 | 16,869 | 0 | 16,869 | 0 | 0 | 16,869 |
(B)負債合計 | 317,124 | -50 | 317,074 | -49,321 | -54,985 | 212,768 |
純資産 | 165,253 | -209,851 | -44,598 | 0 | 0 | -44,598 |
(A)一般債権者への配当原資 | - | - | - | - | - | 134,625 |
(B)一般債権者総額 | - | - | - | - | - | 212,768 |
想定配当率(A÷B) | 63.3% |
まず、資産は先ほど試算した清算価値を基にしています。そこからまず不動産は半期報告書を確認すると不動産(土地建物、信託土地建物、機械設備)計約827億円は担保提供されているので、ここから換金化されたものは優先的に担保権者に支払われるのでそれを考慮します。
ただ、担保権が付いている借入金は490億円くらいなので、もし827億円で換金できれば残りは一般債権者へ渡りますのでその調整を土地建物内の計算で便宜上済ませます。
次にタイミングによりますが、法的整理を申し立てる前に借入金でデフォルト事項があれば金融機関が預金相殺を行うことがあります。
これはユニゾがその銀行に借入をしていて、口座がある場合は即金融機関がその口座にあるお金を取り上げるということです。
法的整理等で保全命令がでればその資金は守られますがここでは保守的に全て預金相殺されると仮定します。
担保提供資産、預金相殺を差引後残った資産は1681億円でこれが一般債権者への配当原資になりますがここから更に差引が必要です。
まず、ユニゾが清算した場合は清算にかかる費用を考慮する必要があります。これは規模が大きければ資産の1%程度、小さければ3~5%程度と言われています。ユニゾは規模が大きいですが、3%で計算します。
また、優先債権として、租税債権、人件費(労働債権)があります。
半期でかなりの益をだしていてどのタイミングで納税が行われるか不明なのでざっくりここで250億円と計算しますが、ここはかなり大きな変動要因になりますので注意が必要です。
労働債権は人件費がざっくり半年で17億円だったので、保守的に1年分35億円で計算します。
優先債権を差し引くを最終的に1346億円が一般債権者に対する配当原資になります。
それに対して担保権付債権の回収を差し引いた一般債権は2128億円です。1346億円を2128億円で割ると約63.3%となりこれが社債などの一般債権者の配当率です。
つまり社債100円に対して清算した場合は63.3円返ってくることになります。
もちろん直近の数値ではないですし、資産内容は数値以外全く分からないので、この試算で全てがわかるわけではないというのは強調します。
ユニゾの社債価格が100円に対して22円で購入できれば収益がでるかもしれない
あくまでざっとした試算ですが、一般債権者に約63.3%返ってくるとしたら社債を100円に対して22円で購入できていれば3倍近くになって返ってくるということになります。
このような状況にある社債は一般の金融機関や機関投資家は購入することはできません。ヘッジファンドが活発に買いを入れていくでしょう。
私がヘッジファンドで投資担当をしていたらユニゾの社債をこの22円近辺の価格で買いあさりながら、ユニゾとの交渉を並行して行い、早々に回収する手立てを企てるでしょう。
もしローンスターがまだスキームに残っている場合は、更に資産を換価して吸い上げていくでしょう。その場合は上に試算した配当率もどんどん下がっていってしまうので、海外のファンドがそれをやめるように法的整理を含めて働きかけるということは当然の行動に見えます。
いずれにしろユニゾにとっては今後も厳しい状況が続く
金融機関は担保価値だけで融資できるわけではない
担保提供できる不動産は一部残されている様なので、ここを重視してくれる金融機関がどれくらいいるかで融資姿勢が変わってきます。
ただし、銀行の審査は決して甘くなく、単純に担保価値だけをみて融資を決めるわけではありません。
もし銀行に融資を断られる場合は、ノンバンクもしくは融資機能をもつファンドなどからの融資を募ることになるのかもしれませんが、一般的に金利は銀行と比べモノにならないほど高くなります。
当然担保提供に応じる必要があり、融資分を返済できなければ優良資産を更に取り上げられてしまうリスクもあります。そうなれば結局倒産ということになるでしょう。
私が外資ファンドであればユニゾホールディングスに優良資産がまだ存在していればローンスターの二番煎じで融資を高い金利で行い、返済できなければその物件を取り上げてそこからも売却益を狙うことをするでしょう。
私で思いつくくらいなので既にそういった打診をしているファンドがあるかもしれません。もしかしたらフォートレスが再度アプローチしているかもしれません。
個人的な感情論ですが
勝手に色々シミュレーションしていますが、金融機関の融資が厳しい場合はおそらくまたローンスターと同様のことを考えて会社の資産を取り崩しに来るところが現れる気がします。
そうなると前の記事にも書いた通り真面目に働いている従業員が一番悪い形で最後取り残されるということになりかねません。
個人的には更なる資産の切り売りを迫られる前にこの時点で(見極めは難しいですが)良質なスポンサーを探して企業の存続を図るのがいい気がします。
いずれにしろ従業員の方々が安心できる体制になっていくことを望みますがその道は非常に厳しいものだとみています。もちろん私は外部の人間なので祈る以外のことはできませんが良い結果になることを引き続き強く願っています。
F-Power(エフパワー)会社更生申立を考察【スポンサーは誰に】
【2021.4.20追記】
週刊ダイアモンドの記事を読んだので、更に記事を追加しました↓
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ユニゾホールディングス記事【会社更生も辞さない社債権者ARCM?】
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